いつか見た空のお話。


今朝の空、一面にうろこ雲が広がっていて目を見張りました。
電車の時間がせまっているのに、夢中で撮りました。
写真は空のほんの一部で、伝えきれへんのがもどかしいのですが…。

思わず撮ったのには理由があります。
うろこ雲というと、ある患者さんのことを思い出すからです。

5年程前に訪問していたSさん。
ケアが全て終わったら、一足先に、電動車いすで窓際に行ったはるSさんの隣に行って、車いすのアームレストに自分の両手と顎をもたせかけた状態で、ぼぉっと空を眺めるのがいつの間にか習慣になっていました。
ほとんどしゃべらず、ふたりで空を眺めるだけ。
時間にすると、ほんの2~3分程度だったと思います。

ある日、「ねぇ、見てみてーっ!すごいうろこ雲!」
指ささはった先には、うろこ雲が本当にいっぱい広がった空がありました。
「すごいねぇ!」「ほんまやねぇ!」その日はいつになく、何度も言いながら見とれていました。

車いすの横で見た、うろこ雲がきらきらとちりばめられた空。
瞬きすら惜しいように、目を見開いてはった、Sさんの横顔。

今日のうろこ雲も太陽の光を受けて、空が一面、きらきらしていました。
いつか見た空とオーバーラップさせると、今もSさんが隣にいてくれたはるような、気がしています。

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