心も身体も温まる地元食堂のお話。

朝晩がめっきり冷えるようになった矢先、早速夫の風邪をもらってかなんです。
昨日は半日休で、仕事終わりに地元のおうどん屋さんに駆け込みました。
お昼をだいぶ過ぎていても、地元住民の足が途絶えません。

20191015_133402このお店は朝早うから毎日、カツオと昆布でお出汁をとってはります。その味と香りがこの世で一番すきです。
そして、この世で一番すきなメニューが「けいらん」。

たっぷりの溶き卵とお出汁のあん、生姜のすりおろしがのった、おうどんです。

ずっと前から変わらへん店内は、いつ来ても、心がほどける場所。
注文すると、ほどなくして、あっつあつの「けいらん」を運んできてくれはります。
立ち上る湯気とお出汁の香りは、どんな吸入薬にも勝る感じがします。
生姜を卵とじあんに混ぜ、おうどんと絡めたら、いつになく真剣に一口。
最初の瞬間から、身体が一気に吸収していくのが分かります。

お店に行くと、昔の患者さんを思い出したりもします。
「わし、もう一度、あの食堂のおうどん食べたいねん!退院したら、その足で行くんや!」
全身に癌が転移し全く食べられず、痛みは強いはずやのに、その言葉は笑顔でした。

当時の私は、ただ聞いて、強く頷くことしかできませんでした。
おうどん、ほんの少しでも、それが無理ならお出汁だけでも、とにかく食べてもらえるように何とかすれば良かったのに…。

いろんな人に、いろんな形でしみこんでいる、地元食堂のおうどん。
なによりも特効薬になると思うてます。

追記。
食べ終わったら、軒先で売ってはる、おはぎやお稲荷さんを買うて帰るのが楽しみ。
はす向かいの八百屋さんでは、おみかんも買いました。
風邪には「けいらん」と「おみかん」がよう効きますよ。

おやじ専用ザク

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島根~広島で必ず買う、時間がなくても通常の3倍で走り込んで買う、鉄板のご褒美たち♪♪

1stガンダムでいうと、シャア専用ザク!
お酒も通常の3倍ですすみます!

焼き鯖寿司は、撮影前、目を離した隙に、うちのゴツいネズミ(夫)にやられました。嫁にシバかれても食べ尽くしたい一品とのこと。

明日は何を食べましょう☆

地蔵盆と夏の終わり

まだまだ残暑ですが、ここ2日間ほどは夜だけ秋めいていて、深夜から早朝にかけて鈴虫の鳴き声が聴こえています。

京都は送り火が終われば、地蔵盆。町内のあちこちでコンコンコンコンという鐘の音が聴こえ、夏が通りすぎていくのを感じます。

少し前になりますが、今年のお盆、お迎えから送り火の期間だけは、深夜食堂に義父と父の盃を加えていました。
とっておきの夏酒、きっと少しは味わってくれはったと思うています。

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ある日のお盆の献立。玉ねぎのピクルス、すぐき漬け、鶏ハム、お刺身、湯葉刺し、鱧のお吸い物、シラス盛りごはん。
お酒は、月の桂 純米吟醸 夏の生酒。 

お刺身と鱧が半額セールで、思いがけず贅沢できました☆

大人の社会科見学、灘の酒蔵めぐりのお話。

 
予定していた神戸の研修が仕事で行けなくなりました。残ったのは、金券ショップで買うていた往復回数券…こうなったら普段行かへんとこにお出かけやわぁと2週間ほど思案していました。

そしてふと降臨したのが、「そうだ、灘(なだ)行こう!」

DSC_1261灘と言えば、お酒。京都伏見のお酒が「おんな酒」と言われるのに対し、灘のお酒は「おとこ酒」と呼ばれています。普段と違うお酒に思いを馳せつつ、休日、電車を3本乗り継いで出かけてきましたよ。

まずは白鶴酒造さん。酒造りの工程はさっくりなぞり、気持ちをソワソワさせていた試飲コーナーはじっくり腰を据えて。
どれも最初の口当たりは思ったよりソフトで、後からエッジを利かせてくる感じでした。

少し火照った舌に甘酒アイスを乗せながら、家用のお酒をホロホロと吟味。資料館限定の蔵酒を連れて帰ることにしました。

その後、急いで梯子したのは菊正宗酒造さん。閉館30分前に滑り込みました。記念館でしか飲めへん生原酒に無事にありつけ人心地。辛口の中に濃厚なお酒の旨味が広がり、測り売りされていたら躊躇なく水筒を差し出していました。
こちらでは、利き酒3本セットを連れて帰ることに。この時点で早くも気持ちはウチまっしぐら、頭にはアテが矢継ぎ早に浮かんで来ていましたよ。

強い西日の中、お土産酒の重さに汗が止まらず、時間差で生原酒も利いてきて、帰りの電車は気持ちよく熟睡でした。
大人の社会科見学の限定品、期間限定で灘の味を愉しもうと思います。
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祇園祭と鱧のお話。

今年の梅雨はどこにいったんやろ…。
京都は早くもうだるような暑さになりつつあります。

私にとって京都の夏を告げるもんと言えば、祇園囃子と鱧。
お囃子の練習が聴こえる頃、店頭に鱧が並び出し、夏が始まる感じです。

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今年のお初の鱧は7月10日。ちょうど前祭りの山鉾立て(各町で山や鉾の組み立てが開始)の日ぃでした。
歯がするどく、見かけはこわそうな鱧さん。最初にこれを食べようと思うた人はすごいなぁと思いつつ、毎年、その上品な旨味に舌鼓を打っています。

まず、頭と骨はそのまま鍋に入れて、少しお酒をふりかけ、沸騰したお湯を入れて出汁をとります。ぐつぐつ煮出したら、火を止めてそのまま置いておきます。身は既に骨切りをしてくれたはるので、一口大に切り、片栗粉で薄化粧させます。(薄ぅーく、ほんのりお白粉がついているかなぁという程度です)


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それを沸騰したお湯に入れると、ふわあっと花が開いたようになります。身が固くなりすぎうちに引き上げて、すぐに氷でキンキンの水で引き締めます。


DSC_1216表面の水気をキッチンペーパーに吸わせて、鱧のおとしの出来上がり。
冷たいツヤっとした身には、梅肉を添えて。きりっとした冷酒がすすみますよ。
夏告げ鱧、スーパーで半額になってるのをねらいながら、秋口までしっかり愉しもうと思います。

ちなみに秋口からは産卵を終えた「なごり鱧」も出てきはるんですが、なかなかお目にかかれず、私の中では祇園祭からお盆の送り火までの特別なお魚やったりします。