海の向こうに父を送るお話。

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早いもので今年の8月ももう後半ですね。
ほとんど余裕がないまま、お盆も終わり、気持ちと身体はずっと連勤気分でした。ようやく今になって一息ついています。

私にとってお盆といえば、実父と義父の命日にあたります。
お盆の入りが義父、終わりが実父。
なので、この時期はふたりが連れ立って帰ってきてくれはるような気持ちでいます。

お盆が始まる頃はお寺の迎え鐘が鳴り、霊感は全くない私でも、おしょらいさんが帰ってきてくれはることを感じて、気持ちが温かくなります。迎え火を焚いたり、きゅうりの馬を作ったりはしませんが、鐘の音に「仲良う帰ってきてください」と手を合わせることが習慣です。

お盆の終わりの頃はここ数年、母の里にいるので、おしょらいさんをお送りする五山の送り火はご無沙汰です。
誰も看取ったことがなかった頃、送り火は私にとって、夏の最後を演出するような一大行事でした。
でも今は送り火を見ると、こちら側で一緒にいられないことが沁みて、じわっとしたものを飲み込むようになりました。

母の里に帰省する期間は限られているので、あれこれと用事に追われ慌ただしくなりがちです。
でも、8月16日は買い物帰りの黄昏時、父が好きだった岬が見える砂浜で車を停めました。

風は凪いでいて、めずらしく海面が鏡のようでした。そこにできたのが一本の光の道。
ねぇ、父さん、できるだけゆっくり行ってね。
私は変わらず頑張るから、向こうから母さんの見守りをよろしゅうね。
お義父さんのほうは京都の送り火で行かはるから。
またお酒でも酌み交わしておいてくださいな。

心の中でつぶやきながら、光の道に手を合わせていました。

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